ジョーティシュではホロスコープ(星座や星の位置を示した図)のことをクンダリーと呼ぶ。
例えばジャンマ・クンダリーとは誕生した時の天体の情報から作られたホロスコープであり、そこには対象となる人、モノ、事柄などに関する、すべての情報が表れている。
では、どのようにして作られた図かと言うと、まず地球から見て太陽の軌道を中心とした上下9度くらいの幅の帯を考える。
これは地球をグルリと取り巻く帯となる。
これが黄道帯である。(星座には動物の名前が多いので獣帯:ゾディアックとも呼ばれる)
この帯を東の地平線から30度ごとに第一室、第二室、第三室・・・・と第十二室と十二分割して、そこに12の星座と9つの星の位置を記入したものがクンダリーだ。
(この室の取り方は、上ではなく下に向かっている。チャート上では左回り、星座の動きはこの順番とは逆に上へと向かう。チャート上では時計回りとなるので注意!)
そしてこの天空上の架空のスクリーンには、12星座と9個の星の物語が映し出されるという仕組みだ。
星座も星も極めて抽象的なものだが、これを具体的な意味に変換することができる。その天体の配置の時に発生(誕生)したものがどんなものであったか?を自然が表しているのだ。
自分が何者であるのか?はこの自然の語りに耳を傾ければわかる。
古代から聖人(リシ)たちはこの知識を後世に伝えてきた。
それがジョーティシュの伝統なのだ。(パラーシャラはそのリシの一人)
では、もう少し具体的に見てみよう。
天文学的には太陽系は扁平のディスク状に太陽を中心として回転しているので、地球から見ると9つの星(太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星、ラーフ、ケートゥ)が黄道帯上に見える。
またちょうどこの帯状の中に見える12個の星座を選んで、それぞれの枠の中に記入していくと12星座が十二室にきちんと収まるわけだ。(牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座)
この12室は固定しており、その中に入る星座と星は地球の自転とともにちょうど走馬灯のように回転(地球の自転方向とは逆の時計回りに一日で一回転する)していくのだ。(もちろん別の動きとしては、9つの星も太陽の周りをそれぞれのスピードで公転している)
ある人の誕生チャート(ジャンマ・クンダリー)を作りたいと思ったら、その人の誕生時間にその誕生地から見た天空の位置を調べればよい。(今では複雑な計算も膨大なデータもすべてパソコンに入っているので、簡単にチャートができる)
さて、その表記の仕方だが、一般的には北インドの方式と南インドの方式がある。
私が習ったのは北インドの方式で、長方形を対角線同士を結んで四つに分け、各辺の真ん中同志を結んで、12マスを作るというものだ。
このチャートの真ん中の上部が東となり、そこが第一室つまりラグナとなる。その次に反時計回りに第二室、第三室・・・・と続き、最後に第十二室となるが、これがラグナの隣(向かって右側)になる。
星座はこの中を時計回りに移動していく。つまり東に牡羊座があったとすれば、次が牡牛座となり双子座、蟹座・・・と続く。(地球の自転は反時計回り)
このマス目には、人生の全ての価値がそれぞれに表されている。
多くの表意の中で重要なものを一つだけとると
第一室:性格
第二室:富
第三室:兄弟
第四室:母親
第五室:教育
第六室:病気
第七室:結婚
第八室:弱点
第九室:幸運
第十室:仕事
第十一室:収入
もちろん、人生の価値をこれだけにまとめることには無理がある。
実際の分析では、一つの部屋にはいくつもの意味が現れるが、それらは皆関連している。例えば第七室の結婚だが、パートナーという表意もある。
つまりビジネスのパートナーも意味している。
第六室は問題、障害、敵などという表意もある。病気とは確かに行く手を阻む敵、まさに障害となるものだ。
また、この順番は一生の流れとも重なって表されている。
さて、この部屋の中を星座と星が回転していくのだが、誕生した時にどの星座が東の地平線と重なっていたか?それが上昇星座、誕生星座、またはラグナと呼ばれる。
チャートを作るには、ラグナが決まれば、あとは順番に星座をその他の11個のマス目に入れていくと全部の配置が決まる。
その次に9個の星の位置を入れていく。誕生した時の星の位置を入れていくのだ。
私たちが日常で使っている曜日は、まさにこの星と対応している。
太陽:日曜日、月:月曜日、火星:火曜日、水星:水曜日、木星:木曜日、金星:金曜日、土星:土曜日、という7つの星々だ。
これ以外にラーフとケートゥという物質的実体のない星がある。
これは太陽の軌道と月の軌道との交点だ。北側がラーフで南側がケートゥとなる。
そして12分割された空間には12個の星座が位置している(必ずしもぴったりとハマッテいるわけではない)。西洋占星術では~宮と命名しているようだ。一つの枠が30度となっていて30度X12=360度なっている。
クンダリーが出来上がったらあとはそれを解釈していくわけだ。(この時点では一旦、天文学的なことは忘れた方が良いかもしれない。でないとけっこう頭が混乱してくる。(笑)
クンダリーには、このジャンマ・クンダリー以外にも、月が位置している星座をラグナにした、チャンドラ・チャートや太陽の位置をラグナにした、スーリヤ・チャート、マハ・ダシャーの星をラグナとしたもの、さらに事柄別(健康、仕事、結婚など)に分析するときに使う16種類の分割チャートなどがある。
つまり色々な見方から分析できるとういわけだ。前にも書いたが、それらから重なって出てくる意味は具現化しやすい。